銀座 平翠軒 森田店主が惚れ込んだ季節の便りを食卓へ Vol.14
銀座 平翠軒
Food
白秋:そっとしのびよる秋、もうだれもいない海
吉田牧場のカチョカバロチーズ
現在私達の店では1,500アイテム程の商品を扱っています。一つ一つに商品No.がついていますが、番号自体は5,000番台になっています。開業以来、28年間に5,000の商品がかつて店に並んだという事になりますが、その中でも栄枯盛衰があり消えてゆく物もかなりあったということでしょう。
その5,000の中で開業以来、不動の0001番をキープしているのがこの吉田牧場のカチョカバロチーズです。
フェルミエ(自家乳で加工乳製品を作る牧場)吉田牧場の吉田全作さん夫婦についてのエピソードは一冊の本になるくらいありますが、私は吉田牧場のチーズ類は日本のチーズ界の頂点、唯一無二のチーズだと思っています。それはなぜか?答えは簡単です。なぜなら吉田全作という男が作るチーズだからです。
吉田牧場が開業したのは私達の店が開店する4~5年前だと思いますが、その当時は吉田さんは苦労されたようです。牧場は山の上の全く人家のない所で冬は雪に閉ざされてほとんど身動きがとれないような場所にあり、自給自足の生活をくみたてなければならない状態であったと思われます。ですから吉田さんのチーズは自分と自分の家族が食べるために作りはじめたという所に原点があります。
通常市販されているカチョカバロチーズは殆どがカビ防止の為のワックスがかけてありますが、吉田牧場のものはかけていません。ですからカビが生えてきますが、吉田さんは淡い塩水で一日一度ふいてやればいいよと教えてくれます。今では手入するのは極めて困難で“幻のチーズ”と称されていますが吉田さんのチーズ作りのスタンスは微動だにしていません。自分と自分の家族の為にという原点を忠実に守って、日々のチーズ作りに息子の原野さんと励んでいます。
今日食品業界で問題にされる安心・安全などという歌い文句は吉田さんにとってはあたり前の言葉でその事を口にすることもありません。私も、もの作りのはしくれですが吉田さんの作る事に対しての真摯な態度はいつも尊敬の念を持って接しています。このカチョカバロチーズはそんな吉田さんの両手の中からまるで魔法のような感じで生まれてきます。
カチョカバロチーズは基本焼いて食べます。1cmぐらいにスライスしてフライパンかあるいはオーブントースターで焼いてやるとお餅のようにふくらんだ所をすかさず食べてください。銀座の有名焼鳥店「バードランド」では、このカチョカバロチーズの串焼が名物になっています。普通にはブラックペッパーをガリガリと挽いて食べるのですが、酸味のあるジャムともよく合います。私はオーストラリア タスマニア地方の野生のベリーから作る“サマーベリージャム”を乗せて食べる事もありますが、大変エキゾチックな美味を味わえます。是非おためしを・・・・・。
ちなみにカチョカバロチーズとはイタリア語で馬のチーズという意味ですが、かなり大きなチーズですので馬の鞁に振り分けて運んでいたのでそう命名されたそうです。
もうひとつ、なぜ9月にチーズかと?さすがに酷暑も9月に入ると力を失い朝、晩はしのぎやすくなります。
牛も同様にやっと夏を超すと毎日の乳量も増え質もよくなってくるそうで、カチョカバロチーズのように作るのに大量の乳が必要なチーズの生産量がふえてきます。ですから9月は私共の手持ちも多少余有が出来るという事です。
この商品はグラム売りとなります
内容量:791g
価格:6,241円(税込)
岡山県産白桃100% デザートポタージュ生クリーム仕立て
皆さんは本当に美味しい桃をご存知でしょうか。大部分の方は出会うチャンスがないので知らずに季節がすぎてゆくのだと思いますが、岡山県の南部に住む私達は実は知っているのです。濃厚な甘さと澄んだ高い香りと限りなくジューシーな逸品を。
清水白桃と呼ばれているこの桃は現在、地理的表示保護制度の対照に指定されている農産物ですが、産地に住む我々はさらに細かな分け方をします。どこで、だれが、どんな風にして作ったのか、そんな口から口へ伝わっていく情報をたよりに得がたい逸品をさぐりあててゆきます。
こんな情報はSNSには絶対に流れませんし我々も決して流そうとしません。知る人達だけの秘かな楽しみとしてとっておくのです。
その為に、伝説ともいえるような話がまことにしなやかに伝わってゆきます。とある農園では真夜中にこっそりと樹の根本になにかを埋めている、あれは多分クズからすみの粉ではないかとか、隣の農家でもイリコを粉砕した粉を樹に与えているとか・・・・・。全く科学的根拠はなにもない話ですがひたすら信じてそんな事を考え実行している人々がいる、それが岡山県南部の桃農家です。
そして一年間の努力の末、盆過ぎに最上級の桃の出荷が始まりますが、しかし成った桃がすべて出荷されることはありません。
少しキズがついたとか(清水白桃は手指でさわっただけでそこが黒ずんでくる事が多いのです)、甘さが少し足りない、玉太りが悪い、そんな理由でB級品が出るので、すかさず私共はそのB級品を狙います。品質的にはそんなに変わる事ではないので果肉をベースにして生クリームを加えポタージュを作ります。
このポタージュは香り高く甘いのでデザートとして食べていただきたいと思います。豊かな食事のしめにこのポタージュを楽しむ、これぞゼイタクというものです。
内容量:150g
価格:1,080円(税込)
店頭、お電話のご注文受付中
TEL:03-6264-5315
倉敷店は下記からどうぞ
http://www.heisuiken.co.jp/