
I ♡ PETER RABBITT ™ × MUVEIL 湯沢 薫 作品展示
ザ・ポップアップ4th
The Pop Up
イギリス湖水地方から届いた「追憶の風」「バレエダンサーを目指していた私にとって、ピーターラビットと言えばフレデリック・アシュトンが振付した英国ロイヤルバレエ団の映画『ピーターラビットと仲間たち』のピーターラビットです」と語る湯沢薫さん。そんな彼女が、美しい自然、光と影、風、香り、動植物、穏やかな人間の営みといったテーマをたたえるピーターラビットと、洗練と手仕事が調和するブランド、MUVEILのコラボレーションを、さらに奥行きのある物語にするために選んだテーマは、「追憶の風の吹く中でWhile the reminiscent wind blows」。「子供の頃は、現在私が暮らしている辺りにもまだ野原や小川があって、緑の中を走り回ったり、母と野花を摘んだりしたものです。幼いなりに季節のうつろいや、美しいものの儚さ、尊さを心に刻んだように思います。」(湯沢)小さなバレリーナとして、映画「ピーターラビットと仲間たち」(1978年の日本初公開以来、機会あるごとに上映が続く)を何度も観てきた湯沢さんにとって、イギリス湖水地方の輝きはとても身近なもので、今回のドローイングには、すべての動きやポーズに言葉があり、見え方がそのまま物語となるバレエの表現とも重なっているかのうよう。バレエの文脈で読み解くなら、ドローイングに現れる人物ーーすでに悲しみを知っている少女や少年のポーズは、トレーシングペーパーにホワイトインクで描かれた繊細な植物を思わせる線や文字と重なって、見る人それぞれに遠い日の物語を運んでくれるかもしれません。タンポポの種子、草の根、木枝に絡まる絹糸ーーガラスドームに閉じ込めた一瞬の輝きもまた、「追憶の風」が運んできた物語と言えるでしょう。湖水地方から届いた「追憶の風」。清々しい秋風を思わせる作品を是非ご覧ください。
ARTIST PROFILE
湯沢 薫(Kaori Yuzawa)
San Francisco Art Instituteで製本、写真、実験映画を学ぶ。絵画や、植物、鉱物などの自然物を採用した造形作品、写真、コラージュなど、具象、抽象表現の世界をボーダーレスに横断する作風で評価されている。海外での展覧会も多数。著書に『幻夢』(写真集 He He 刊 2015年)。アルゼンチン音響派のギタリスト、フェルナンド・カプサッキ(1965‐)のトリビュートアルバム制作に一曲参加。音楽活動も行っている。

2018.11.16 UP
