銀座 平翠軒 森田店主が惚れ込んだ季節の便りを食卓へ Vol.36
銀座 平翠軒
Food
朱夏:切りつけるような陽光の中をうつむいて歩く
大門素麺
今から20年前にもなるでしょうか。富山県、石川県は今と違って辺境のイメージが強く、なかなか足を踏み入れる事がない地域でしたので、ここぞとばかりよく車で乗り入れていました。
その当時は良い蕎麦を探す旅をしていました。
山奥にわけ入って手あたり次第蕎麦を食べていましたが、丁度富山に抜ける山道の途中に合掌造りで有名な五箇山があり、ついでに見学して山道を富山方面に下っていくと、うっそうとした森を抜け突然目の前が開け、眼下に砺波平野が拡がる風景に出会いました。
稲刈りが終わったばかりの秋の影色はまことに日本の田園風景そのもので、穏やかな秋の日差しの中でまるで画のように黄金色に輝いて見えたのを今でも憶えています。
この素麺は砺波大門地域に伝わる農家の冬の副業として、昔から作られていたのだそうですが、今では絶えてしまった輪島素麺の流れを汲む手延べ素麺で、1年で最も寒い時期に絹ふるいにかけて、精選した小麦粉を地元を流れる庄川の伏流水でこね、鉢伏山から吹き下ろす寒風にさらして仕上げる伝統に忠実な素麺です。
その形から島田素麺とも丸まげ素麺とも呼ばれる独特の形をしているのが特徴です。
発売当初から生産者の名前が入っていて、その品質には作る本人の自信がうかがえます。
通常のものより少し太めですが冷やしても温めても抜群の小麦の風味と強いコシが味わえる私のお気に入りの素麺です。
特にお勧めの食べ方で、茹でた素麺の上に出汁(暖かくても冷たくても季節に応じて)をかけ、卵(できれは温泉卵)とねぎを乗せてぶっかけうどんのようにして食べるとこれは1年中楽しめる美味しい和ランチになります。
容量:350g
価格:730円(税抜)
香檳烏龍茶
30年来の友達である吉田牧場の吉田全作さんから、ある日1個の小包が届きました。
開けるとペットボトルが24本と“今、俺が気に入ってるお茶”というメッセージが一緒に入れてありました。
香檳烏龍茶と表記された500mlペットの烏龍茶でしたが一口飲んで、今まで飲んでいた烏龍茶と全く違う味と香りでした。
ちなみに香檳とはシャンパンの事だそうですが、このお茶は京都の100年企業の老舗茶舗“清水一芳園”さんが台湾新竹県北埔産の無農薬栽培の茶葉を直輸入し、醸したものだそうです。
別名“東方美人茶”とも呼ばれるインド北部で採葉されるダージリン紅茶に近い味と、数種類の香りが複雑に絡み合ったふわりとした花のような香り、すっきりした甘さを持ったぐいまれな烏龍茶です。
この茶葉は6月のわずか1週間ほどの間に手摘みで収穫される貴重品だそうで、私も夜ゆっくりした時はこのお茶を飲んでいますが、今もって飽きる事がありません。
私の友人共も時々やってきては酒を飲み肴をつまみ談論風発となるのですが、最後はこのお茶を飲んで〆るというのが毎回になっています。
ちなみにこの清水一芳園さんには代々伝わる“清水家五訓”というのがあるそうです。
一、篤く三宝を敬え
一、布施の心を心とせよ
一、不易流行を心得るべし
一、世間様に迷惑をかけるなかれ
一、徹底すべし
なんだかよく判りませんがなんだかありがたいような気がします
容量:500ml
価格:210円(税抜)
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