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Italy, Taiwan, and Tokyo: Memories of Past Travels

佐々木 ケイ 食の記者・編集者

GINZA SIX EDITORS Vol.114

食について書いている。料理ジャンルは不問、東京の最先端のレストランからローカルの大衆酒場まで。高級も大衆も、酒肴も甘いものも上下左右なく愛し、食べて飲んでは、身を肥やし、記事を書いている。節操なしと思われて致しかたないが、何かこれはというものは、と訊かれれば「イタリアの味」を挙げている。理由はあれこれあるのだけれど、ワインの縁のおかげでこの5年で12州を旅していて、雑誌でイタリア料理人とイタリア料理の連載も続けている。ここまでが前置き。

だから、銀座に「EATALY(イータリー)」がやってくると聞いたときには小躍りした。今年の夏のことだ。マーケットに加えてレストラン3軒にカフェと規模は国内最大級だという。いそいそと足を運んで以来、ちょっとご無沙汰気味だったGINZA SIXに、再び通うようになった。わかりやすい。せっかくだから同時期に開業した2軒の店もチェックすることに。台湾のパイナップルケーキに鰻。好きなものばかりだ。

「イータリー」(6F)で一番よく行くのは「LA PIAZZETTA」だ。11時の開店から23時までの通し営業。イタリア総菜を小皿盛りにしたつまみは30種以上、で1皿500円前後。ありがたい。昼下がりの取材帰りにビール1杯ひっかける。夕刻、食事の前にオリーブをつまみにプロセッコを1杯ひっかける。食後にグラッパとドルチェだけ、なんて大人~な使い方は幸福度がかなり高い。

不規則生活万歳なフリーランスにとって、終日営業の店は宝。昼酒も夜カフェもオッケー、お腹が空いていたらピッツァもあるよ、と包容力抜群で、生ハムとランブルスコなら北へ、魚介のフリットと白ワインなら南へ、と1杯と1皿で妄想イタリア旅時間を過ごせるオマケ付きだ。

「MARKET」の楽しさはいわずもがな。近頃は、町場にも個人経営の食材店やレストランに併設された食材売り場など、イタリアの食材を買える店は増えて、店主の個性がにじむ棚は、それはそれで楽しいのだけれど、オリーブオイルだけで何十種、パスタもしかり、と品揃えでは他の追随を許さない。個人的にうれしいのは、チーズや生ハムなどの量り売り。帰って料理したくないときのおつまみに、人を招くときのプラス一品にと助けられている。

20州から360種を集めたというワインには、なじみ深い生産者のものも多くそろう。ボトルを手に取れば、造り手の顔やぶどう畑の景色、テラスのダイニングテーブルで食べた地方色豊かな料理の数々が頭に浮かび……と、ここでもしばしの間、妄想イタリア旅を楽しむことになる。

アクセスしやすさから、「LA PIAZZETTA」と「MARKET」にばかり行っているが、「LA GRIGLIA」というグリルレストランにも行ってみたいと思っている。できれば、中央通りを見下ろすテラス席を。銀座の店を数百軒取材しているが、低層でも高層でも、外の景色がきれいに見える店は意外と少ないのだが、ここはいい。それに、シンプルに焼いた肉(特に牛肉)と赤ワインは大の好物なのだ。

お次は、台湾発のパイナップルケーキ専門店「SunnyHills ginza(サニーヒルズ ギンザ)」(B2F)。台湾はイタリア同様、ここ数年で繰り返し旅している土地で、中国各地の郷土料理から、屋台飯、スイーツまでぎゅうぎゅうに予定を詰め、食べに食べ歩くのが常だ。お土産の定番は、やはりパイナップルケーキ。

路地裏の個人店からデラックスなものまであれこれ食べたが「サニーヒルズ」のものは、小ぶりで食べやすくて気に入っている。中身のジャムは、果実の甘みがまじりっけなしに凝縮している。生地も日本製小麦粉、グラスフェッドバターなど質のいい素材の味がちゃんと感じるられる上に、ざくっと香ばしい“よく焼き”な味が私好みだ。

店頭では台湾茶とのセットが売っていて、ギフトなどにも重宝している。個人的に「サニーヒルズ」のパイナップルケーキは、酒と合わせてもいいと思っている。例えばパイナップルケーキは樽熟成したラムと、りんごケーキはカルヴァドスと。合わないはずがない。今度試してみようと思う。

台湾茶とのセットを、初めて自分用にも買ってみた。まずはりんごケーキと紅玉紅茶のギフトセット(5,700円 ※以下全て税込価格)を。発酵茶の深い香りと旨味、甘酸っぱさを残したりんごジャムの果実感がなるほどぴたり。また自由に旅ができるようになる日まで、銀座で“台湾欲”をチャージできる場所として頼りにすることになりそうだ。

最後は鰻。日本橋で創業70余年の「鰻 伊勢定」の銀座店「日本橋 鰻 伊勢定 ~蓮~」(13F)である。「銀座にもできたのね」くらいの軽~い気持ちでお邪魔したら、想像以上に素敵な店だった。GINZA SIX内ならではの、すっきりとモダンなしつらえで、カウンターはゆったり、窓も大きい。銀座のランドスケープと東京にしては広めの空が織りなす景色がとてもいい。気分のよさに、シャンパーニュでも、となる。

鰻屋さんでの食事はどうしても、軽いつまみと鰻重でおしまいになることが多いのだけれど、こちらは会席のコースがある。食事とお酒を楽しみながらゆっくり過ごせる。カウンターに立つ料理長の話が、また楽しくて。聞けば、古い料理書を紐解いて、知られざる料理を今によみがえらせることに力を入れているそう。銀座の店で名物になっている「すっぽん卵〆」(4,180円)もそうなのだとか。

わかりやすくいえば、すっぽんの茶碗蒸しなのだけれど、すっぽんを酒だけで炊いてその煮汁をだしとして使うのが大きな特徴なのだという。いわく、「牛ほほ肉の赤ワイン煮込み的発想」。ふるふるとした口溶けは茶碗蒸しに同じだが、淡く優しい風味とは一線を画す、濃厚で力強い味わい。やはりたっぷりの酒で炊くフカヒレまで載った豪華な一品だ。当然のことながら宿命的に酒に合い、ついつい進んでしまう。

鰻のおいしさは、いわずもがな。GINZA SIX店だけで扱うブランド鰻「伊勢うなぎ」は、三重県と愛知県の境で養殖され、木曽三川のミネラル豊富な水で育てられるということを、今度は接客担当の女性スタッフの方が丁寧に説明してくれた。名水に加え、短い養殖期間も味の決め手に。柔らかく、臭みのない味わいは格別で、蒸し、焼きの技、強すぎないタレがとてもよく合う。

とびきりの鰻重「伊勢」(8,800円・肝吸いと香の物付き)を食べながら、この1,2年、よく「伊勢定」の本店がある日本橋や浅草界隈を歩いたことを思い出した。地方へ、海外へ、自由に出掛けることができなかった時期に、老舗が並ぶ通りを歩くことで、旅心地に浸っていたのだ。「イータリー」をきっかけにした、久々のGINZA SIXパトロールが、図らずも個人的な旅の記憶をたどる時間になった。

Text: Kei Sasaki Photos: Jiro Ohtani Edit: Yuka Okada(81)

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佐々木 ケイ

食の記者・編集者。女性情報誌の編集部を経てフリーに。守備範囲は東京のフードシーンからローカルのレストラン、食材の生産現場まで。ホテルなどの宿泊施設、ワインを中心に酒類全般に関する取材も多い。イタリアではのべ40軒のワイナリーを訪問している。雑誌連載は「BRUTUS」『グルマン温故知新』、「dancyu」『拝啓イタリア料理様』ほか。WEB「料理通信」「ONESTORY」でも執筆。 Instagram : @sasaki__kei
Instagram GINZASIX_OFFICIALにて配信中

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日本橋 鰻 伊勢定 ~蓮~

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2021.11.16 UP

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