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GINZA SIX EDITORS

ファッション、ジュエリー&ウォッチ、ライフスタイル、ビューティ、フード…。各ジャンルに精通する個性豊かなエディターたちが、GINZA SIXをぶらぶらと歩いて見つけた楽しみ方を綴ります。

All Bundled Up for Winter with Zero Femininity? How to Be Amazing When You Take It Off

原 千乃

「どうやら今年は“暖冬”のようです」。秋くらいから聞こえてきていたそんな噂に、ほっと胸をなでおろしていた超寒がりのわたし。が、しかし。なんだかここ最近、年末に向かうにつれ、加速度的に寒くなってきてませんか? そんなわけで、なによりも“防寒”を第一義に考えたコーデ一辺倒で過ごす、毎年恒例の“着膨れ”シーズンに早くも突入です。このシーズンになると、暖かさの過剰追求により、いろんなものを着込むため、全体的なシルエットはつねに“もっさり”。当然、「女度」なんて限りなくゼロで、朝の出勤時、自分の姿が玄関前の鏡の中で、もさもさと動くのを見て、外出へのモチベーションがダダ下がりとなることもしばしばですが、そんなときに必ず心の中で密かに唱えるのが、「こう見えてわたし、脱いだらスゴイから!」というワード。要は、「実はこの“もっさり”を脱いだらフフフフ…な女らしさ満載のモノをわたしは隠し持っているのよ…」と自分で自分に思いこませ、前向きな気分にさせる、という若干気持ちの悪いセルフ・マインド・コントロール作戦なんですが、その根拠はといえば、「実は今日は素敵なレースの下着をつけているから」とか「実は今朝は高保湿力を誇るトロトロ入浴剤のお風呂に浸かったから」くらいのもので、「脱いだらスゴイんです!」と言い切るにはイマイチ弱い…。そんなわけで、令和最初のお正月もすぐそこ。新しい年を、ホンモノの “実は脱いだらスゴイんです”な女として迎えるために、GINZA SIXへと向かうのでした。

例えば地下鉄のホームでふとすれ違った女性や、エレベーターに乗り合わせた女性、カフェで偶然隣り合わせた女性などから、偶然、品のいい香りがふわっと漂ってきたら、「ああ、この女性、きっと“只者”ではないんだろうな」と無条件で思ってしまうことってありませんか? 実際の容姿やファッションがどんなものであっても、というか、そんなものは目に入らないくらい、“生身”の部分の素敵さ、女っぽさがくっきりと浮かび上がる感じ。香りの力って、それほど絶大ですよね。なんで、まずは、「重めのコートを脱いだ瞬間にふわっと立ち上る芳香の力を借りて“生身”の女っぽさ」をかもし出し、「脱いだらスゴイ感」を増強させることを最初のミッションに設定。世界に名だたる名香の数々を生み出してきたシャネルなら、必ず、わたしの中の女っぽさを引き出す“魔力”を持った香りが見つかるはず、と早速B1Fの「CHANEL FRAGRANCE & BEAUTY(シャネル フレグランス & ビューティ)」へ。お店のフロントに施された華やかなクリスマスディスプレイをくぐりぬけただけで、すでに第1ミッションクリアへのモチベーションも俄然アップです。

ガブリエル シャネルの誕生日である1883年8月19日にオマージュを捧げた「シャネル N°19」、1921年に発売されシャネルのフレグランスの代名詞ともなっている「シャネル N°5」はもちろん、世代を問わず人気の「チャンス」や「ココ マドモアゼル」、など、お馴染みのシャネルフレグランスが全て揃う店内は、うっとりするようないい香りで満たされていて。いろんな香りをいろんな人が試すことで、こうして何種もの香りが混ざり合っていても、決して喧嘩することがなく、逆にその瞬間のそこでしか味わえない香りの饗宴を楽しめるのは、名香揃いのメゾンの真骨頂だな、と改めて。

そして、こちらのブティックには、日本では限られた15店舗でしか扱っていないというフレグランスコレクション「レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル」も。それぞれの香りに時代時代のマドモアゼル シャネルのクリエイションやエレガンスが宿り、調香を手がけてきた歴代の専属調香師たちによる香りの真髄が受け継がれているという、特別なこのコレクション。一切の妥協を許さず、作り上げたというこの17種の中に、“もっさり”の中に埋もれていたわたしの“女っぽさ”を引き出してくれる運命の1本がある予感です!

とはいえ、数多くの香りの中から、自分にピタッと来る香りを選び出すのって、かなり至難のワザですよ…。と、思いつつ、とりあえずムエットを片っ端から鼻先に当てていたところ、「どんな香りがお好みですか?」と、天の声が! こちらのブティックには専任のフレグランススペシャリストさんがいらして、その人の好みや雰囲気、なりたいイメージなどから、コレ! という1本を選び出すお手伝いをしてくれるんですって。有難い!

そんなわけで、最終的に選んだのが、こちらの「BOY」(写真右から2番目・200ml 46,000円 ※以下全て税抜価格)。マドモアゼル シャネルが生涯を通じて愛し続けたという伝説の恋人、アーサー カペルの愛称を冠したこの香りは、女性の肌にマスキュリンなニュアンスを与えつつ、大切な誰かと抱き合ったときに、相手の香りと混ざり合うことでまた新しい顔を見せる、というまさに特別な“愛の香り”。よく見ると同コレクションのほかの香りよりもCHANELのロゴとBOYのロゴの距離が近い、ボトルのデザインからもマドモアゼル シャネルのBOYへの愛がいかに深いものだったかがうかがえます。今回伺った、このトリビア的逸話にもいたく心を持っていかれ、この“愛し愛される喜びの香り”こそ、間違いなくわたしの“生身のスゴイ感”を底上げしてくれると確信です。

キレイにリボンをかけてもらった「BOY」を手に、次なるミッションに向かう前に、以前からブティック前を通りがかるたびに気になっていた、リップの自動販売機につかまるわたし。高級コスメをこんな風に“自動販売機”に入れてしまうこの遊び心! 大好物! でも、残念ながら、欲しかったカラーは売り切れていたので、こちらはまた今度のお楽しみに。

さて、“愛し愛される喜びの香り”を身に纏い、気分的にはもう“いつでも脱げるね!”(←でも誰も望んでいない)くらいの勢いで、エスカレーターに飛び乗り、5Fにある眼鏡ショップ「EYESTYLE(アイスタイル)」へ。“70年代の大人の趣味部屋”がコンセプト、という洒落たしつらえのこちらのショップには、国内外から集められた500~600種類の眼鏡たちが一堂に。では、なぜここに来たのかと言うと、そう、今回のわたしの第2ミッションは、「似合う眼鏡選び」だから。というのも、眼鏡をかけている女性が大好き、と公言する知人男性が以前、「似合う眼鏡をかけているだけで特に大人の女性は6割増しで色っぽくなる。何故なら眼鏡のフレーム効果で黒目がとてもキレイに見えるから。そして、その印象的な目を見ていると、思わず眼鏡を外して“素”のままの目をどうしても見てみたくなってしまうし、またその外すときの仕草ときたらさらに色っぽくて…」とか、遠い目をして言っていたのを思い出して…。確かに“眼鏡美人”って、知的だけどどこかしっとりとしていて“脱いだらスゴイ感”があるかもね。そのアイデア、ぜひ、いただきましょう!

実を言うと、数年前から、お年頃によるアレ(←老眼)が始まったせいで、日常生活の中での眼鏡着用頻度がどんどん上がっているものの、とにかく機能第一! で、じっくりと自分の顔に合った眼鏡選びなどした経験に乏しく。どうしようかな、と少々おろおろしていたところ、背後になにやら人の気配が…。振り向くと、あらやだ、イケメンよ!

こちらのイケメンの正体は、もちろんこちらのお店のスタッフで、お名前は谷さん。さすが、こだわりの眼鏡ショップのスタッフらしく、メタルフレームの個性的な眼鏡をさらりとかっこよくかけこなしてらっしゃる! そんな谷さんのアドバイスのもと、さまざまな形、素材の眼鏡を試すわたし。で、最終的に候補として残ったのがこちらの3点。上から、SAINT LAURENT SL264 005 フロント:プラスチック素材・テンプル:メタル素材(40,000円)、OLIVER PEOPLES STILES MSYC フロント:プラスチック素材・テンプル:メタル素材(33,000円)、GUCCI GG0611OK 001 フロント:メタル素材・テンプル:プラスチック素材(47,000円)。

さすが目利きのセレクトだけあって、どれも甲乙つけがたく、何度もかけ比べを。しまいには「一番、“しっとり眼鏡美人”風に見えるのはどれですかね?」などと、調子に乗って谷さんに問いかけ、言葉につまらせるという不始末です。この場を借りてお詫びしたいと思います。ごめんなさい。

結局、黒のクラシカルタイプのグッチの新作に落ちつきました。グレージュのクラシカルタイプと最後まで迷ったけど、谷さんに加え、店長の大塚さんの「お客様のように黒目が大きいタイプは、細めの黒フレームにすると、大人の女性ならではのさりげない知的さも色っぽさも出せると思いますよ」というアドバイスが決め手に。こちらのお店は、選んだ眼鏡を一番素敵にかけこなせるよう、とても細かく細かく調整してくれるのがポリシーとのことで、この日も何度も何度も微調整。ちなみに大塚さんによると、眼鏡をかけたときに、フレームの中央部分に下まぶたが来ると、一番女性らしく、魅力的に見えるそうで、もちろんそのように調整を。

仮調節してもらったものをかけてみたら、確かにいい! ヒジョーにいい! これまでモモヤのCMの人とまではいかずとも、どちらかといえば鼻眼鏡状態一歩手前な感じのかけ方をしていることが多かったので、最初はえっ! こんな上まで上げていいの? と思ったけれど、確かにそのほうが黒目の印象が際立ち、色っぽげな潤み感まで出てきてる感触。やはり、プロのアドバイスに偽りはなし! こうして“しっとり美人眼鏡”を手に入れたことにより、“脱いだらすごい感”をさらにステップアップさせたことに満足し、次のミッションへ向かうのでした。

香りと眼鏡の効果で、“脱いだらスゴイ感”のメーターは着々とフルに近づいてきたところで、第3ミッションは、いよいよ“実際の肌の質感改善”です。寒さと乾燥に加え、“どうせ肌、出さない季節なんだから、ま、いっか”という、美容編集者にはあるまじき、日ごろのお手入れ不足により、カサカサでゴワゴワでボコボコになっている“ショボイ”ボディに、潤いとツヤを与え、よくいう“吸い付きのいい極上肌”へと生まれ変わらせるべく、B1Fの「CLARINS SKIN SPA(クラランス スキン スパ)」へ。

クラランスといえば、1954年、パリにエステティックサロン「アンスティテュ クラランス」をオープンして以来、オールハンドによる独自のメソッド「クラランス タッチ」と「植物由来成分」で、世界中の女性たちの肌と心をピカピカに磨いてきた、エステティックサロンの老舗中の老舗。いやがおうにも、いつでも脱げる、“吸い付きボディ”への期待が高まります。セラピスト暦13年のベテラン内藤さんによる、カウンセリングからトリートメントのカリキュラムがスタート。じっとこちらの目を見ながらお話を聞いてくださる内藤さんの優しく柔らかな笑顔を見ていたら、思わず「肌の乾燥がひどいせいか、夜寝るためにベッドに入ると、足のすねが猛烈にかゆくなり、掻いて掻いて掻いてしまう結果、かきむしり傷までできてしまいました…」、なんていう、恥ずかしい告白まで、ついついしてしまったけど、内藤さんは、にっこりと、「おまかせください」と。はい! 全ておまかせします!

痒みが出るほど乾燥したわたしの肌を、目標の“吸い付きボディ”に導くべく、内藤さんが選んでくださったのは、たっぷりの植物性オイルを使ったハンドトリートメントで肌に潤いとハリ感を与える「ボディ シルエット」(60分 17,000円)に、乾燥で硬くなった角質をしっかりと取り除く「ボディ リニュー」(30分 11,000円)をオプションでプラスするというメニュー。さて、施術は乾いて厚くなった角質をやさしくオフするスクラブからスタート。背中から始まり、脚、お腹、デコルテまで全身くまなく角質を取り除いたあと、1回シャワータイムを挟んで、オイルマッサージへ。角質ケアのおかげで,面白いほどオイルがするすると吸い込まれていくわたしのボディ。それはもう、内藤さんも、「オイル、いくらでも入りますねー」と苦笑(?)するくらいのレベル。強すぎず、弱すぎず、まるで「絶妙な力加減とはこんな感じ!」というお手本みたいな内藤さんのハンドタッチのあまりの心地よさに、正直、後半は熟睡してなにをしたか覚えていないくらいでしたが、目覚めてすぐに触った太もも辺りの肌のぴたっと手に寄り添う感触はまさに、求めていた“極上の吸い付き感”。もちろん全身がこの“ぴたっと”感触で、思わず自分で自分のボディにあちこち触りまくってしまいました。こうしてミッション3はパーフェクトに完了です。

ちなみに今回のトリートメントで使ったアイテムは、右から「スムージング ボディスクラブ」(200g 5,500円)、「ボディ オイル “トニック“」(100ml 7,400円)、「エクストラ ファーミング ボディ クリームN」(200g 8,500円)。同じくB1Fにあるクラランスのブティックでも購入可能です。セラピストの手技には及ばないけれど、厳選植物成分使用のアイテムを使ってホームケアすれば、この“吸い付き感”ももっと継続できるかも!

さて、これまでの3つのミッションにより、“脱いだらすごい感”も、“本当に脱いでもすごい吸い付き肌”をも手に入れたところで、もうひと押しのラストミッションです。本日のGINZA SIX詣でで手に入れた諸々の“スゴい感じ”を少しでも長くキープさせるにはやはり、身体の内側からのケアも必須。ほら、歳を重ねるにつれて、体調の良し悪しが顕著に肌の状態に直結しますもんね。今後予想される、年末最後の仕事の追い込みによる肉体疲弊により、せっかくかき集めた“スゴさ”の数々が元の木阿弥、なんてことになったら泣くに泣けないよ! ここはひとつ、免疫力アップや抗酸化効果が期待できる“発酵食品”でもバリバリ摂って、そんなカタストロフィーを回避せねば! そんなわけで、新潟・魚沼産の“発酵”にこだわった食品を厳選して一同に集めたという、B2Fの「銀座 千年こうじや」へと。

先月取材で伺ったお料理の先生のお宅で、生麹を炊飯器で発酵させて作ったという、自家製の甘酒をご馳走になったのですけど、とても美味しかった上、頂いた後は体がなんだか心持ち軽くなった気がしていて。これは自分でも作って、毎日の“活力源”にしたい! と密かに思っていたので、生麹あるかしら? なんてキョロキョロしたところ、ありましたよ、ありました。山積みで! こちら、日本酒で有名な八海山の酒造発のこだわりの生麹で、その名も「八海山の蔵出し生麹」(700円)。甘酒のほか、塩麹、醤油麹、そしてお味噌を作るのにも使えるとのこと。

さて、お目当ての生麹をお買い物かごに入れ、レジへ向かおうと振り向くと、やだ! 麹を使ったオリジナルのたれやお醤油、などの調味料たちがずらり並んで私を呼んでいるの…。でも、気になるものが多すぎて、どれをつれて帰るのが正解か、もうわからない…。

ということで、気になるものを特別にテイスティングさせてもらうことに。右から「麹のしょうゆ」(200ml 600円)、「麹ぽん酢 白ごま」(200ml 600円)、「かけるだし麹だれ」(200ml 600円)。麹のチカラによる“まろみ”のせいか、そのままでもごくごくいけちゃいそうなほど、角のない優しいお味!

そして、生麹に加え、お醤油とたれを1本ずつ購入して、インナーケアのためのお買い物もフィニート。最近、忙しくてとんと自炊をサボっていたけれど、優秀発酵調味料を手に入れたことだし、この冬も寒くて着ぶくれしていても「脱いだらスゴい」私でいるための、体内デトックスをすべく、今日から再開しようかな、なんて前向きな気持ちで帰途に就いたのでした。

Text: Chino Hara Photos: Yuka Fujisawa Edit: Yuka Okada(edit81)

GINZA SIX EDITORS Vol.92

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原 千乃

いくつかの女性誌編集を経て、現在、働くアラフォーの女性誌「マリソル」のビューティ・エディターとして、美容記事を担当。同誌にて、美容コラム「うぬ惚れ美容」連載中。
Instagram GINZASIX_OFFICIALにて配信中

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2019.12.18 UP

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