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GINZA SIX EDITORS

ファッション、ジュエリー&ウォッチ、ライフスタイル、ビューティ、フード…。各ジャンルに精通する個性豊かなエディターたちが、GINZA SIXをぶらぶらと歩いて見つけた楽しみ方を綴ります。

Sometimes Even Dads Want to Feel That Youthful Buzz

持田 慎司

大人の街として知られる銀座は、僕にとっては新卒で入社した主婦と生活社という出版社がある街(実は最寄り駅はひとつ隣の京橋なのだけれど、若かりし頃は見栄も含めてそう言っていました。関係各所の皆さま、この場を借りてお詫びと訂正をさせていただきます……)。だから、銀座は20代の思い出が詰まった地でもあるわけです。その街の新たなランドマークGINZA SIXへは、開業以来の再訪となりました。そぞろ歩きをするうちにふと気付いたのは、30代も中盤にさしかかり父になった自分が忘れかけていた、遮二無二過ごしたあの頃のフレッシュな気持ち。「買い物って楽しい!」、「知らない自分が恥ずかしい!」。そんな、お父ちゃんも思わず童心に返ってしまうドキドキワクワクとともに、気になる3店舗をぶらり。

まず訪れたのは「ヘルノ」。今年創業70周年を迎える、イタリアのラグジュアリーアウターウエアブランドです。ちなみにスタイリッシュかつ斬新なショーウィンドウやディスプレイは、ミラノの本店と同じコンセプトデザインを採用しています。

試着をさせていただいたのは、今シーズン新たなコレクションとして登場した『LEGEND(レジェンド)』シリーズ。こちらは、“不朽の名声を築いた伝説のアウターウエアをひとつに凝縮したコレクション”なのだとか。大定番のダッフルコート型のデザインにマットな軽量ナイロンと最高級グースダウンというナイスな組み合わせに、思わず「もしかして、コレ着て子供を保育園に迎えに行ったら、園児たちのヒーローになれちゃうんじゃない?」なんて妄想までかきたてられます(¥110,000 ※以下全て税抜価格)。息子よ……、単純な父を許しておくれ。

さすがは70年の歴史を誇るアウターブランドだけあって、そのラインナップは多岐に渡ります。数あるコレクションのなかから、自分のココロとカラダにジャストフィットしてくれる一着を「アレも良いけど、コレも捨てがたいし……」なんて迷いながら見つけていくのも、プリミティブな買い物の楽しみ方だよな〜、としみじみ。

次にお邪魔したのは、日本が誇るアイウエアブランド「フォーナインズ」です。僕自身もここのメガネを愛用するひとりなのですが、あまりのフィッティングの良さに、深夜の作業中に掛けたまま眠ってしまうこともしばしば。睡眠時のメガネへのストレスはさておくとして、それくらいストレスフリーな掛け心地なんです、本当に……。

店内にズラリと並ぶアイウエア群を眺めながら、当初はなんの気なしに「夏の強い陽差しの下でも我が子と思い切り遊べるかも……︎」との理由で試着したのは、同社のサングラスラインであるフォーナインズ・フィールサン。

でも、試してみたが最後。トレンドのボストン型『F-05SP』(¥33,000)のなかでも、カジュアルにも相性の良いマットブラックのフレームにひと目惚れし、即座に購入を決意。快適な掛け心地を約束してくれるフォーナインズ十八番の逆Rヒンジに加えて、ノーズパッドやモダンの部分は自分で微調整ができてしまうという点も決め手になり……(そもそも同社のアイウエアは掛け心地がすこぶる良いので、気に入ったデザインのモデルを試着したら、その物欲から逃れる術はないことを以後お見知りおきください)。さらに視力が著しく悪いので、ついでに近視のレンズの作成のお願いも。息子と過ごす休日は、しばらく公園通いが続きそうですね。

お見苦しい写真で恐縮ですが、こちらはメガネを掛けているときの黒目の位置を計測し、それをレンズ加工時に反映させるための測定を行なっている図。ここまで精緻な調整を行なっていただいたのは自身のメガネ人生のなかでも初体験だったので、その感動をお伝えするべく。

GINZA SIXのそぞろ歩きもいよいよ最終コーナーです。ちょっと背筋が伸びる思いで、来年創業100周年を迎える「漆器 山田平安堂」の敷居をまたぎました。決して広いとは言えない空間ですが、そこに整然と並ぶ美しい器の数々になんだかココロが洗われる気が。

こちらは、若い職人さんの発想によって生まれたという『汁椀 錫漆』(¥18,000 ※朱色とのセット価格)。天然木をひとつひとつ削り出し、そこに錫と透明度を高くした漆を混ぜて塗り上げることで、独特の質感を表現したものです。若い感性が反映されているからなのか、どこかモダンな雰囲気も備えているので、洋食器との相性も良いのかと。手に馴染む感じも素晴らしく「毎朝これでお味噌汁が飲めたらどんなに幸せか」と妄想は膨らむばかり。

今回、お店を訪れた最大の目的がこちら。夏限定で販売される“白漆”を使ったお皿です(¥6,000)。聞くところによるとこの目にも涼やかなベージュは、漆の樹液に白の顔料を混ぜ込むことで出しているのだそう。20代の頃は日々の忙しさのなかでついつい忘れがちでしたが、子供が生まれてからは「家族みんなで季節を楽しむことを大切にしたい」なんてことを、柄にもなく思うようにもなりました。

結婚をして独立して子供ができて、守るものが増えた分、自分の考え方も少し守りに入った部分があって。Tシャツ一枚とって見ても、同じ銘柄のものばかりを買うようになってきて……。そんないまの自分に息苦しさを感じるわけじゃないけれど、たまには無邪気にはしゃいでみたくなる時ってありません? 物欲や知識欲を大いに刺激してくれるドキドキとワクワクが詰まったGINZA SIXは、そんなお父ちゃんも思わずやんちゃ坊主に戻れる“大人のタイムマシン”的館なのかもしれないなぁ、なんてことをお節介にも考えつつ、足取りも軽く家路につくのでした。

Text:Shinji Mochida photos:Toshiyuki Tamai Edit:Yuka Okada

GINZA SIX EDITORS Vol.54

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持田 慎司

雑誌『LEON』の編集者を経て、2016年にフリーのエディター&ライターとして独立。現在は男性ファッション誌を始め、広告やカタログ、webやムービー制作までジャンルやメディアを問わず活動中。
Instagram GINZASIX_OFFICIALにて配信中

ヘルノ

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フォーナインズ

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漆器 山田平安堂

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2018.08.28 UP

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