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GINZA SIX EDITORS

ファッション、ジュエリー&ウォッチ、ライフスタイル、ビューティ、フード…。各ジャンルに精通する個性豊かなエディターたちが、GINZA SIXをぶらぶらと歩いて見つけた楽しみ方を綴ります。

Making Connections with Delicious Surprises: The Essence of Sweets as Gifts

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私にとっての銀ぶらエリアは、もっぱらデパートや商業施設の地下フロア。今日は手みやげスイーツを求めてGINZA SIXのB2Fをぶらぶらします。まずは「オリジンヌ・カカオ」へ。ちょうど今、気になっているものがあったのです。

「オリジンヌ・カカオ」といえば、日本のショコラティエの先駆者、川口行彦シェフが率いるパティスリー&ショコラトリー。パリッ、とろりとお口に広がって、カカオの力強さや妖艶さに酔わせてくれるボンボンショコラや、ショコラとフルーツがまったりとろけるGINZA SIX限定の「テリーヌ ショコラ」(1,000円 ※以下全て税抜価格)なんかももちろんいいのですが、こちらの焼き菓子もまた格別。ショコラと同じく焼き菓子もとても口溶けが良く、するする食べてしまいます。聞けば、小麦粉を減らしてアーモンドプードルをたっぷり入れているからとか。そんな焼き菓子に、GINZA SIX一周年を記念して生まれた新しいケークが出たというから見逃せません。

それがこの「ケーク オ シトロン アンダルー」(1,800円)。スペイン産のクラッシュレモン(レモンを皮まで全てすりつぶしたもの)を混ぜ込んでいるから、レモンのほどよい酸味も皮の心地よくビターな香りも充分楽しめる一本です。

ここだけでしか手に入らない名店の新作は、お菓子ツウな方も満足させる手みやげに。これは、いつも情報交換しあっているお菓子仲間と集まるときに持って行くことにしよう。

次はお気に入りの「フィリップ・コンティチーニ」へ。「世界で最も革新的なパティシエ」と呼ばれる巨匠のお店ですが、実はGINZA SIXが、まもなくオープンするパリ店に先駆けての世界一号店。つまり日本でここでしか手に入らないモノばかり、というのも手みやげに嬉しいポイントです。美味しいもの好きの友人宅への手みやげに、と思っているのですが、さてどれにしましょうか。

やっぱりこちらのシグネチャー、「クイニータタン」(1個450円)にしようかな。その名の通り、クイニーアマンとタルトタタンをいいとこ取りしたオリジナルのお菓子です。初めていただいた時には、ガツンと目が覚めるようなおいしい衝撃が走ったもの。艶やかな球体クイニーアマンの表面はカリッとしたキャラメリゼで、その生地の内側はキャラメルがジワリと染み込んでいて。中から蕩け出すりんごのコンポートが穏やかな酸味を醸し、カリムチした生地を噛みしめるほど、発酵バターのミルキーな風味と香ばしいキャラメルの旨味が溢れてくるのです。この温故知新なお菓子は、フランス菓子の底力をひしひしと感じさせてくれます。

さらにこちら、店頭で惑星のように浮かんでいるのはウィークエンド(1個500円)。一般的にはパウンド型などで細長く焼かれるあの定番も、ここでは球体に。フォルムのインパクトもさることながら、もっちりと噛みしめるほどに現れる、粉やバターの旨味も忘れがたいものです。

「これ食べて欲しいな」「でもあっちも好きそうだしなぁ」……大切な人のリアクションを想像しながらあれこれ迷うのも手みやげ選びの楽しみ。迷った時はいったんカウンターに移って、パフェ休憩などしながら思いめぐらすのも手です。

通常のパフェもいいのですが、ちょうど先日友人と、知る人ぞ知る名物「オートクチュールパフェ」を作ってもらっていたので、今回はそれをオーダーします。その名の通り、各自の好みや思い出の味をベースに、パリから来日したコンティチーニさん自ら、目の前で自分だけのパフェを創作してくれるという贅沢すぎる一杯。即興で作られるのですがその後レシピに落とし込まれ、一年間は日本人パティシエの高頭さんが再現してくれます。注文できるのは作ってもらった本人のみ、というオートクチュールの特別感も心くすぐられるところ。

コンティチーニさんに創作してもらうのが18,000円(その後のパフェ注文は3,600円で、ドリンク付き)と、なかなかのお値段ですが、この価値ある体験を求める人でウェイティングリストはすぐに埋まってしまうのだとか(コンティチーニさん来日に合わせてお店のSNSで告知されます)。パフェの享楽を知る大人たちが集うのも、銀座らしいじゃないですか。

目の前で鮮やかに作り上げられて行くライブ感は、寿司屋さながら。ちなみに友人と私だけのパフェは、焼き菓子にモッツアレラ(塩とオリーブオイルで和えたもの)、クラックネ(サクサク感が楽しいコンティチーニさんオリジナルのお菓子)、プリン、ジャスミンクリームなどを重ね、さらに味噌、出汁ジュレ、紫蘇アイスといった意外な和素材も合わせるという前代未聞の構成です。

口にすれば淡く柔らかな味わいの中で、味噌や出汁が旨味をぐいっと引き上げ、プリンがまろやかに全てをまとめていくよう。仕事柄色々なスイーツを食べてきましたが、これまで想像すらしなかった未知のおいしさがここにありました。料理人でもあるコンティチーニさんは、素材使いにお菓子と料理の境界も、和と洋の垣根もなく自在。おいしいことへの軽やかなアプローチに、パフェは、お菓子は、とことん楽しいものなんだと、改めて教えられた気分です。

さて。少し脱線しましたが、ちゃんと手みやげのことも考えていましたよ。

今回はパフェにも入っていた「クラックネ」(9個入り3,000円)にすることにしました。これはコンティチーニさんが長年味覚を追求してたどり着いた「食感の楽しさ」を表現したお菓子。ノワゼット、ピスターシュシトロンなど全8種の味わいがあり、頬張ると、ザクザクやみっちり、カリカリなど、めくるめく食感が口いっぱいに響きだします。静謐さを漂わせるシンプルな見た目から口にしたときの驚きへの振り幅は、おいしいものを知り尽くした人にこそ楽しいサプライズとなりそう。

ちなみにGINZA SIXに来たら、「KUGENUMA SIMIZU」もはずせません。

招き猫や鯛、さらには四つ葉のクローバーまで、縁起物7種を象ったもなかの可愛らしいこと! こちらのは種(皮)と餡が別々になっていて、食べるときに自分で挟むいわゆる“お手作りもなか”です。挟みたてをいただくと、香ばしいパリパリもなかに、十勝小豆あんがとろりのコントラストはやみつきに。味やヴィジュアルに自分で作る楽しみも加わって、一見もなかと縁遠そうな子供たちにも好評とか(実はうちの子たちもハマっています)。お子さんがいるお家から年配の方まで、これなら幅広い世代の方に好まれそうですし、おめでたいモチーフなのでお祝いごとにも最適。また、外国の方への手みやげにもいいですね。

気さくな手みやげには、7種をひとつずつ収めた賑やかなボックス「福」(1,500円)を。よりきちんとしたい場には、写真のような木箱入り(10個入り3,000円)にと、シーンに合わせて使いわけられます。

さらに、こんな素敵なラッピングを施せば完璧(+100円)。いただく方もさし上げる方も気持ちが格段に上がります。

実はこちら、湘南のフレンチレストランから生まれたお店なのですが、そもそもどうしてフレンチのシェフがもなかを? 「もともとレストランでも日本の旬の食材を使っていました。日本古来の良いものを、味だけでなく日本の素晴らしい風習も含めて伝えたいという思いは常にあったんです」とマダムの清水さん。そこでフューチャーしたのが7つの幸福のシンボル、そしてそれを表現できるもなかだったというわけです。末広がりの形から縁起が良く除災招福や魔除けの意味もある「ひょうたん」、七転八起の縁起物として知られる「だるま」という具合に、ひとつひとつのもなかに相手の幸せを願う意味が込められています。

「手みやげって人と人との“縁”を繋げるものですから」。良い手みやげを両手に、日本の手みやげ文化の心を胸の内に持ち帰る、この上なく充実した銀ぶらとなりました。

Text:chico Photos:Kayoko Aoki Edit:Yuka Okada

GINZA SIX EDITORS Vol.38

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chico

スイーツライター。スイーツのトレンドに精通し、雑誌、web、TVで執筆や企画監修、コメントなどを手がけ、『anan』(マガジンハウス)の「chicoのお菓子な宝物」、『SALUS』の「もらって嬉しい手みやげスイーツ」ほか連載も多数手がける。書籍『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。共著に『東京最高のパティスリー』(ぴあ)などがある。
Instagram GINZASIX_OFFICIALにて配信中

オリジンヌ・カカオ

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フィリップ・コンティチーニ

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2018.04.27 UP

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