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GINZA SIX EDITORS

ファッション、ジュエリー&ウォッチ、ライフスタイル、ビューティ、フード…。各ジャンルに精通する個性豊かなエディターたちが、GINZA SIXをぶらぶらと歩いて見つけた楽しみ方を綴ります。

Venturing to Dream Jewelry at GINZA SIX

愛甲 悦子

1月と7月の年に2度、パリ・オートクチュールファッションウィーク最終日に開催される、恒例の“ジュエリーデイ”がある。ヴァンドーム広場の名門ジュエラーがこぞって門を開き、世界各国のジャーナリストやバイヤー、VIP顧客に世界最高峰のハイジュエリーをお披露目するという、世にもラグジュアリーな1日。我々エディターはヴァンドーム界隈を行ったり来たり、会場をハシゴしたり。拠点であるドイツからしばし帰国中の今、あのジュエリーデイに似た特別な高揚感を銀座でも味わえると聞きつけて、GINZA SIXへ足を運ぶことに。

まずは、オートクチュールファッションウィークを牽引する「ディオール」へ直行。ディオールの世界観を表現する日本初の旗艦店、「ハウス オブ ディオール ギンザ」。1階の奥に、お目当てのファインジュエリー&ウォッチのコレクションが広がる。アーティスティック ディレクターのヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌの美意識が投影された、イマジネーションあふれるウィンドウディスプレイに釘づけ。ジュエリーが主役のミニチュア宮殿は、眺めているだけでフェアリーテールの世界に引き込まれたような気分に。

ムッシュ ディオールが幸運のお守りとして、いつもポケットに忍ばせていたという星モチーフ。星型の風配図にデザインされた「ローズ デ ヴァン」コレクションは、愛すべきNEXTお守りジュエリーの予感!

ピンクオパールのメダイオンが回転する「ローズ デ ヴァン」リング(185,000円 以下全て税抜価格)が、重ねづけ向きかなと思案しているうちに、ハイジュエリーリングの圧倒的オーラに吸い寄せらせてしまった。指にまとうたびに彫刻になる造形美。この大胆なまでのボリューム、気高いエメラルドやパライバタイプトルマリンなどが奏でる完璧なカラーセオリーに惚れ惚れ。

至高のキラメキ効果で心が一気に華やいだところで、4階の「カフェ ディオール バイ ピエール エルメ」へ。ピエール エルメ監修による麗しいスイーツを、“ディオール メゾン”の美しいテーブルウェアとともに楽しめるエクスクルーシブな空間で、いざスペシャルなブレイクを! 10時30分〜13時30分まで限定の「プティ デジュネセット」(2,400円)はパンケーキ、パンペルデュ、ブリオッシュ、フルーツ、グラノーラまでをいただける充実ぶり。

美味しくしっかり朝食をいただいたものの、11月から始まった季節限定のデザート、「バシュラン ローズ、フランボワーズ、ライチ」(2,700円)の甘やかな誘惑には抗えず。ローズが薫るアイス&フランボワーズのソルベ、瑞々しいライチがメレンゲとクレームシャンティに包まれた、咲き誇る花のような美しさ。温度と食感、風味の異なるコントラストが舌の上で溶け合い、まさにピエール・エルメならではの“味覚のサイエンス”と感服!

オートクチュールとオートパティスリーという、フランスを代表するふたつのブランドの感性が共鳴するカフェ空間。美食家とファッショニスタが集うのも大いに納得。カフェの隣りには、日本で唯一ディオールのホームコレクションが手に入る、注目の「ディオール メゾン」が。カフェで使用しているティーセット類やカラフルな花器などは、大切な人への贈り物としても喜ばれそう。

ジュエリーに匹敵するウォッチの輝きも恋しくて、次なるデスティネーションは、ヴァンドーム広場にもブティックを構える名門マニュファクチュール「ジャガー・ルクルト」へ。

以前はデザイン至上主義だった私も、長らく腕時計の撮影や執筆に関わるうちに、精緻な機構を駆使したウォッチは時にダイヤモンドよりも美しい、と感じるように。ジャガー・ルクルトの店内に足を踏み入れた途端、バカラクリスタルに包まれ、半永久ムーブメントを露わにしたユニークな置時計「アトモス 568 by マーク・ニューソン」(2,900,000円)に惹きつけられた。気温の変化を動力源として(たった1度の温度変化で2日分の作動エネルギーを供給)、自動的に半永久的に巻き上げられる秘密の機構を宿した、モダンアートさながらのマスターピース。

ヴィンテージ×ハイファッションが自分の定番スタイルゆえ、アール・デコ調が薫り立つバイカラーの「レベルソ・ワン・コルドネ」(815,000円)を真っ先に試着させていただくことに。端正な幾何学的シェイプ、小ぶりのケースから漂う正統派レディライクなムードにノックアウト寸前……。

にわかに、今日のジャガー・ルクルト訪問の最大の関心事は、名作「レベルソ」をパーソナライズできるサービス、「アトリエレベルソ」だったと我に返る。レベルソ誕生85周年を機に2016年からスタートしたカスタムメイドのサービスは、反転ケースの裏側のダイアルの色や素材、ストラップを自由にビスポークできるというもの。ラピスラズリやアヴェンチュリンなどの宝石をダイアルにセットし、好みでダイヤモンドを施すことも可能と説明を受ける。

ここGINZA SIXのブティックではiPadでオーダー対応を行っているので、さっそくトライ。楽しい妄想を膨らませながらスワイプしていくと、表情がくるくる変わってFUNな気持ちに。カスタマイズの組み合わせパターン数は無限に近いというから、ワン&オンリーなレベルソに出合うまたとないチャンスに心が揺れる。

孤高の“ジュエリーデイ”もそろそろ終盤戦。煌めきの最終章は、「ヴァン クリーフ&アーペル」へ。日本最大の売り場面積505.5㎡を誇る、3フロアで構成された広大なブティック。メゾンならではの詩情あふれる世界観と、黄金の手を持つ職人たちのサヴォアフェール(伝承の技)に、公私にわたって魅了され続けている私のような身にとっては、ここは煌めきのサンクチュアリ。

エレベーターを利用せずに階段を歩けば、まるでパリの瀟洒なアパルトマンを訪れたようなラグジュアリー気分。壁には仏職人が金箔と手描きの絵付けで施した花の姿が。ほかにも、壁に飾られたウィンザー公爵夫人のポートレートや、アーカイブに残るデザイン画の数々が目に留まる。

2階はブライダル コレクションが一堂に揃うフロア。ハイエンドなブライダルリングが並ぶ奥のコーナーは、ソファに座ってくつろげる空間に。GINZA SIXから直結していてエントランスの扉はいつも開かれているから、男性ひとりでも気負いなく立ち寄れそう。

目下の憧れ、「ブトン ドール」コレクションのイヤリング(3,175,000円)とリング(2,100,000円)をフィッティングさせていただく。1930年代に登場したメゾンのヘリテージモチーフ “パイエット(スパンコール)”をモダンに再解釈した、流麗なサークルの連なり。カーネリアンとマザーオブパール、ピンクゴールドが優美な色彩のコントラストを描き、サークルモチーフが耳元で手元で、心地よく揺らめく。女心を刺激してやまないまろやかな曲線美に、サヴォアフェールが息づいている。叶うならば、自分の宝石箱をこの輝きで満たしてしまいたいと夢想する。

ヴァン クリーフ&アーペルのシグネチャーといえば、幸福感に満ちたフラワージュエリー。リアリティから巧みな距離感を保つ、ポエティックでありながら幾何学的な花の表現はメゾン不変のスタイルだ。満開の蓮の花モチーフを描き出した「ロータス」コレクションは、アイコニックな「ロータス アントレ レドア リング」(上・3,700,000円)に続き、華奢なミニモデルが登場したばかり(ブレスレット545,000円、ペンダント570,000円、ピアス1,050,000円)。一年間頑張った私にダイヤモンドの花を贈る、なんて素敵。

“人生を共にするジュエリー&ウォッチ選びは、多少無理をしてでも自分に最高額の投資をすべき”——50代の先輩ファッションディレクターからの教訓が、脳裏をよぎる。真のパートナージュエリー&ウォッチとなるか否か、見極める絶対的な基準といえば、50代の自分を想像したときに身に着けていられるかどうか、だそう。今日GINZA SIXでめぐり合ったものは、そんな基準に当てはまりそうな特別な品ばかり。さらなる煌めきをチャージしたくなったとき、未来を輝かせてくれる相棒を探しに、またゆっくり訪れたい。

Text:Etsuko Aiko Photos:Tomoko Meguro Editor:Yuka Okada

GINZA SIX EDITORS Vol.15(Jewelry&Watch)

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愛甲 悦子

ファッション・ジュエリー&ウォッチエディター。1974年東京生まれ。「MISS」「家庭画報」「VOGUE NIPPON」「Harper’s BAZAAR日本版」編集部勤務を経て、2010年に渡独。現在はドイツ・ケルンと東京を行き来しながら、フリーランスとして美と煌めきを求めて奔走中。モード誌や時計&ジュエリー専門誌、Web、カタログなどで活躍。
Instagram GINZASIX_OFFICIALにて配信中

ハウス オブ ディオール ギンザ

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カフェ ディオール バイ ピエール・エルメ

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ジャガー・ルクルト GINZA SIX

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ヴァン クリーフ&アーペル GINZA SIX

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2017.12.04 UP

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