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GINZA SIX EDITORS

ファッション、ジュエリー&ウォッチ、ライフスタイル、ビューティ、フード…。各ジャンルに精通する個性豊かなエディターたちが、GINZA SIXをぶらぶらと歩いて見つけた楽しみ方を綴ります。

Fashion Week Essentials to Satisfy Even the Fad-Follower’s Heart

栗山 愛以

9月末から10月初めにかけて、半年の一度のお楽しみ、2018年春夏パリコレクションを取材してきた。

本来は各ブランドが新作を発表する催しなのだが、全世界から集った私のようなファッションオタクがここぞとばかりに着飾る祭典、と言ってもいい。私もパリの頑強な石畳という強敵を相手に果敢にピンヒールで臨んだ。しかし、案の定半日もしないうちに脚が棒のように。むやみやたらに休憩を重ね、肝心の展示会巡りもおろそかになってしまった。

ハイヒールが人間の身体構造に無理を強いていることは重々承知しているし、基本そんなにフェミニンな格好はしないのだが、やっぱりピンヒールで完成するスタイリングというものがある。私のように思い立った時に突然ヒールを履くような人種にもやさしい、快適なピンヒールはないものか。

すがるような思いでたどり着いたのが2階マノロ ブラニクである。

日本をイメージした店内にはハイヒールがずらりと並んでいて壮観だ。45年以上のキャリアを誇るマノロ氏が手がけるシューズブランド。きっと女性の足を研究し尽くしているに違いない。そんな期待を込めながら初心者向けのピンヒールはないでしょうか、と店員さんにおそるおそる聞いてみると、かのブリジット・バルドーのイニシャルから取ったという「BB パンプス」をお薦めされた。シンプルなデザインゆえ、オフィス用にも人気だという。慣れていないくせにヒール高5cmを飛び越えて、9cmにトライしてみたのだが、びっくりするぐらいの安定感。「かかとの中心を捉えて重心が定まる」木型だからだそうなのだが、ブランド最高値10.5cmもいけそうなくらいだ。

ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』の主人公キャリー・ブラッドショーが心を奪われていたことで有名な、サテンにジュエルバックルが美しい「ハンギシ」も履いてみる。

ベルリンで買った安物の柄タイツにあえて豪奢なピンヒールもいい感じ。これで履き心地抜群なのだから言うことなしだ。

なんだか難解なピンヒールをものにしたような達成感。スタイルごとに異なる木型やヒールの高さによって合うサイズも変わってくるらしいので、じっくりフィッティングしながら吟味するに限る。

パリコレは3月と10月に行なわれ、極寒というわけではないのでファーコートまでは必要ないのだが、かと言って寒くないわけでもなく、いつもアウター選びが悩ましい。そんな季節に便利なのはトレンチやステンカラーコート。次にそれらが豊富に揃っていそうな3階マッキントッシュへと赴いた。

都内最大級の規模を誇るそうで、広々とした店内だ。

ブランドを象徴する、防水性に優れたゴム引きコートはハリのある立体的なシルエット。シンプルなデザインながら存在感があり、微妙な寒さをしのぎたい時には絶好のアイテムだ。

スタンダードはもちろんいいのだが、ファッションの祭典で着る場合にはもう少し華やかさを求めたくなってしまう。ミーハーな私が食いついたのはバレンシアガのアーティスティック・ディレクターも務める、今をときめくデムナ・ヴァザリアが手がけるヴェトモンとのコラボレーションや、ロンドンの新進気鋭のデザイナーキコ・コスタディノフが起用されている「MACKINTOSH0001」ライン。早速前者を意気揚々と試着してみた。

こちらもゴム引きで機能性十分なうえに、オーバーサイズで肩の力が抜けていて、いい具合。案内してくださった副店長に「いやー、似合いますよね!」と無理やり同意を強要してしまう。

もうワンサイズ小さいものも試してみたかったのだが、いっそのこと、極端なオーバーサイズを攻めてもいいのか?!と決めかね、一旦保留に。最後に4階のヴァルカナイズ・ロンドンへ。

そんなこんなでパリコレは洋服だけで相当な荷物になってしまうため、今愛用しているグローブ・トロッターのスーツケース30インチではこと足りなくなってきていた。そこで、最大サイズの33インチを試してみたかったのである。

サンプルを持たせてもらったら、女性でもそんなに大きすぎる印象はないかも。ぜひ前向きに検討したいとスーツケースを転がしながら店内を歩いているとふとスマイソンのコーナーが目に入る。

ステーショナリーが人気の英国王室御用達ブランドだが、そういえばショーでお隣になったエディターの方が「Runway Notes」というものをお持ちだった。見開きの左ページには「CITY」「SEASON」「SHOW」「COMMENTS」という欄があり、罫線が引かれていて、右は白無地。洋服のイラストなんかが描けそうだ。いつも気になったルックをiPhoneで撮ることくらいしかしていないのに、こんなレザーのカバーのすてきなノートがあれば、もっとまじめにメモしそう…と夢想したのだった。ちなみにこの日は「Travels and Experiences」というノートを発見。

これも日付、場所を書く欄があって使えそうだ。別にそのへんのノートに箇条書きで書けばいい話なのだが、やっぱりデザインがすてきだったり、特別な欄が設けられていたりすると気分が上がるもの。ちょっと値は張るが、だからこそ見合った内容を書き込もうと思ったりもする。それは高級な身なりで気も引き締まり、どうでもいい服で気持ちもたるむファッションにも通じる。やっぱり形から入る、というのも悪くはないのだ。

というわけで、GINZA SIXに行くだけで次のパリコレ準備ができてしまうことに気づく。まだ終わったばかりでレポートもこれからだというのにすっかり気もそぞろ。次のシーズンに向けてわくわくが止まらないのだった。

Text : Itoi Kuriyama Photo : Kohey Kanno Edit:Yuka Okada

GINZA SIX EDITORS Vol.10(Women’s Fashion)

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栗山 愛以

1976年生まれ。コム デ ギャルソンで広報を務めた後、ライター活動を開始する。現在は「GINZA」「VOGUE JAPAN」「SPUR」「FIGARO japon」など、モード誌を中心に活躍中。大学院で哲学、社会学を通してファッションを読み解こうとしたこともある。
Instagram GINZASIX_OFFICIALにて配信中

マノロ ブラニク

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2017.11.06 UP

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