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GINZA SIX EDITORS

ファッション、ジュエリー&ウォッチ、ライフスタイル、ビューティ、フード…。各ジャンルに精通する個性豊かなエディターたちが、GINZA SIXをぶらぶらと歩いて見つけた楽しみ方を綴ります。

Finding the Special Everyday in Ginza

川上 康介

子どものころから“ふだん”が好きだ。運動会や遠足のような“とくべつ”が嫌いなわけではなかったが、自分もふくめ、みんながそわそわした雰囲気になるのが苦手だった。大人になってもそれは変わらない。たんたんと自分のペースで過ごすふだんがいとおしく、ありがたい。フリーランスというルーティンのない生活を送っているから、余計そう感じるのかもしれない。

で、銀座。日本一、いや世界でも有数のとくべつな町だ。キラキラしているけど、そわそわはしていない。この町は、とくべつであることがふだんだ。ふだんをとくべつに変えてくれる町でもある。いまもっとも新しく、そして銀座らしいスポット、GINZA SIXを訪ねると、そのことを実感できる。GINZA SIXには、僕が好きな“とくべつなふだん”がたくさんある。

まず訪ねたのは、4Fの「タビオ ジャパン」。メイドインジャパンのハイクオリティな靴下の専門店だ。ここの靴下は、とにかくはき心地がいい。たかが靴下とあなどるなかれ。「男の価値は足もとを見ればわかる」と言われるが、それは靴だけの話ではない。どんなに高級な靴を履いていても、3足1,000円の靴下では台無し。そもそも高級靴の本当のよさを知るには、足とのあいだに入る靴下のクオリティが重要なのだ。

これからの季節に多用するロングホーズ(ハイソックス)を探しにきたのだが、豊富なラインナップのなかで目にとまったのは、「絹×綿バンナーロングホーズ」(¥2,200)。日本に数台しかない機械で編み上げられたというこのソックスは、足の甲より上は高級シルク、足底には厚手の綿パイルを使用。いわばビジネスソックスとスポーツソックスのいいとこどりで、クッション性のある足底のおかげで1日中歩いても疲れを感じることがなさそうだ。

もともとスポーツソックスでTabioを知って以来、いろいろな靴下を愛用してきたが、こんな“隠し玉”があったとは。いずれも肌触りのいい綿やウール、シルクをつかったソックスは、1,000円台から2,000円台。ふだんを心地よく過ごすことを思えば、決して贅沢すぎる買い物ではないと思う。

GINZA SIXのB1ビューティフロアは、男でも抵抗なくぶらつくことができるのがうれしい。百貨店のコスメコーナーといえば、化粧品メーカーのカウンターが並び、女性たちが美を求める熱気とさまざまな香りが入り混じり、“男子禁制”の雰囲気があるが、それとはまったく別物。フロア全体にゆとりがあり、おじさんなりの“ビューティ”を探し求めることができる。

今回私が立ち寄ったのは、「ジョンマスターオーガニック セレクト」。このNY生まれのオーガニックブランドのシャンプーやコンディショナーは、海外のホテルのアメニティで使ったときから気になっていた。洗い心地がいいし、髪が落ち着く。自然由来のやさしい香りも印象に残っている。

シャンプーやコンディショナーは、ラインナップが豊富だが、どれを選ぶかは3分間ほどの「頭皮診断」(無料)を受けてから。毛穴や頭皮の状態を調べると、最適な商品がすぐに分かる。

私の場合、頭皮は正常ということでノーマルタイプのシャンプー「L&R シャンプー N」(¥2,400)をセレクト。L&Rはラベンダーとローズマリー。ほのかな香りだけでもいやされる。コンディショナーは、ちょっと贅沢に「R&Aヘアマスク」(¥4,400)。整髪料が好きではないので、ともすれば、バサバサ広がる髪をまとめてくれる効果があるそう。でも気に入ったのは、そのふくよかな香り。ローズとアプリコットの香りは、甘すぎず上品。おじさんだからこそ、髪質や香りに投資すべき。数千円で“ふだん”が潤い、おじさん臭さを脱することができるのだから、ありがたい話だ。ついでに乾燥するこれからの季節に備えて「リップカーム」(¥1,500)も購入。髪だけでなく唇もツヤツヤを目指す。

最後は、B2のフードフロアへ。あまたある誘惑に心を揺さぶられながら、目的の「ラベイユ」にたどり着く。ここは世界中のはちみつが揃う専門店。なにを隠そう、はちみつが大好きだ。もともとは主食のように食べているヨーグルトの相棒を探して、いろいろなはちみつを試すようになったのがきっかけだ。日本各地、世界各国、旅するたびにさまざまなはちみつをチェックし、さらには通販で取り寄せる。そうやって何年も“理想のはちみつ”を探し求めてきたが、もうそんな苦労は必要なさそうだ。この「ラベイユ」を訪ねれば、プロが厳選したまじりっけなしのおいしいはちみつが揃っている。

日本はもちろん、イタリア、フランス、ギリシャ、ハンガリー、ニュージーランドなど10カ国から集められたはちみつは、種類も豊富。アカシア、オレンジ、レモン、りんご、そば、コーヒー、栗、さくらんぼ…85種類以上あるというラインナップは、すべてテイスティング可能で「あれもこれも」とわがままにリクエストする私のような客にもスイートかつベタベタしない対応をしてくれるのもうれしい。

ちなみに素人はちみつ評論家である私のおすすめは、シチリア産のはちみつ。粘度が高く、舌触りも独特。ただその風味はとても華やかで、それぞれの花の特長を感じることができる。スプーンにすくって、そのままなめたくなるようなおいしさだ。今回は、国産の新米ならぬ“新蜜”「和歌山みかん250g」(¥3,300)をゲット。甘みのなかに、グレープフルーツのようなほんのりとした苦さが個性的なフレッシュな味わい。ヨーグルトにまぜてもパンに塗ってもおいしそう。「ラベイユ」のはちみつで、ふだんの食生活が楽しくなりそうだ。

最後に買い物ではないが、私のようなクルマ派の方にGINZA SIXでぜひ活用してほしいサービスを紹介しよう。通常一般客の駐車場はB4になるが、B2に専用コーナーが用意されたバレーパーキング(GINZA SIX APP会員へ登録のうえ、当日1時間前までに事前予約制。有料¥2,000)を使えばクルマをサクッと“乗り捨て”してショッピングに直行することができる。時間はないけどちょっと買い物をしたい、そんなときに最適。高級ホテルのようなサービスで、ちょっとぜいたくな気分を味わうこともできる。

おしゃれして、気合い入れて、GINZA SIXへ! もちろんそれもあり。でもそれだけではすべてを堪能したとは言えない。肩の力を抜いて、ふらりと楽しむ。それでも“ふだん”を“とくべつ”にしてくれる。GINZA SIXのふところの深さを感じた1日だった。

Text:Kosuke Kawakami Photos:Sachiko Horasawa Edit:Yuka Okada

GINZA SIX EDITORS Vol.58

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川上 康介

エディター、ライター。1971年生まれ。1993年、文藝春秋入社。『週刊文春』『CREA』『Title』の編集部を経て、2003年『GQ JAPAN』の新規創刊に参加。2006年に独立し、フリーランスに。人物インタビューから、ファッション、時計、自動車、農業など幅広い分野で、雑誌や書籍、ウェブサイトの編集・執筆、広告の製作に携わる。著書に『リシャール・ミル プロフェッショナルコンセプター 1億4000万円の時計を作るという必然』など。
Instagram GINZASIX_OFFICIALにて配信中

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2018.09.27 UP

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