TRADMAN’S BONSAI 次世代へつなぐ、日本文化としての盆栽体験
次世代を担う子どもたちに向けたカルチャープログラム「SCUOLA GINZA SIX」にて、TRADMAN’S BONSAI を講師に迎えた盆栽ワークショップが開催されました。
TRADMAN’S BONSAIは、日本古来の盆栽文化を次世代へ継承していくことを大切な使命のひとつとして掲げています。

当日は、推定樹齢500年以上の盆栽を含む特別展示も実施。GINZA SIX 屋上庭園には、五葉松や黒松、赤松、真柏など、選び抜かれた盆栽が並び、来場者を静かな存在感で迎えました。
ワークショップではまず、盆栽の起源について学ぶ時間からスタートしました。盆栽のルーツは、中国で生まれた「盆景」にあり、その歴史は2000年以上前の後漢時代にまで遡ります。貴族の墓から鉢植えを描いた壁画が発見されていることからも、古くから自然を鉢の中に表現し愛でる文化が存在していたことがわかっています。
その後、日本へ伝わった盆景は、平安から鎌倉時代にかけて独自の進化を遂げ、日本ならではの美意識とともに発展しました。
江戸時代には大名や上流階級の趣味として広まり、後期には庶民の暮らしの中にも浸透。浮世絵にもその様子が描かれるなど、日本文化として深く根付いていった歴史を、子どもたちは真剣な表情で学んでいました。

現在、盆栽は世界中で高い人気を誇り、その流通もグローバル化が進んでいます。一方で、正しい育て方を知らないまま盆栽を枯らしてしまうケースも少なくありません。TRADMAN’S BONSAIは、その現状に強い危機感を抱いています。
だからこそ今回のワークショップでは、「枯らさず、長く守り育てること」の大切さを、子どもたちに直接伝えることを重視しました。剪定、水やり、屋外での管理方法、植え替えのコツ、苔の貼り方まで、一つひとつの工程を丁寧に体験。文化を未来へつないでいくための“最初の一歩”として、実践的な学びの場が設けられました。
自分の感性で選ぶ、一鉢との出会い
ワークショップでは、まずこれから植えるヒノキ科の樹木、真柏(しんぱく)と鉢選びからスタート。
TRADMAN’S BONSAIのチームは、「ぱっと見て“これだ”と思ったものを選んでください」と子どもたちに声をかけました。

すると、少し斜めに伸びた樹や、枝が大きく曲がった個性的な真柏など、それぞれが自分の感性でお気に入りの一本を選択。
鉢もまた、まっすぐな形、中央がふくらんだもの、くびれのあるものなど様々で、子どもたちは選んだ樹との相性を考えながら、自分だけの組み合わせを完成させていました。

剪定で学ぶ、“育てる美しさ”
続いて行われたのは剪定作業。
下向きに伸びた枝や、葉が密集して光が届きにくくなっている部分を整えながら、樹を健康に、美しく育てていく方法を学びました。
単に形を整えるだけでなく、「未来の成長を想像しながら手を入れる」という盆栽ならではの考え方に、子どもたちも集中して向き合っていました。








真剣な眼差しで挑んだ植え替え作業
植え替えでは、水につけた土と樹を針金で固定しながら、新しい鉢へと丁寧に移していきます。



TRADMAN’S BONSAIが用意した本格的なハサミや道具を使いながら進める作業は、簡単そうに見えて実は細かなコツが必要。子どもたちは講師の説明に耳を傾けながら、真剣な眼差しで一つひとつの工程に取り組んでいました。


苔貼りに広がる、それぞれの個性
最後は苔貼りの工程へ。
一度貼った苔の上に重ねてしまったり、形が崩れてしまったりと苦戦する姿も見られましたが、講師陣からアドバイスを受けながら少しずつ完成へ。
美しく苔を貼り終えた瞬間には、達成感に満ちた笑顔が広がっていました。


普段触れることの少ない苔の作業に、「面白い」「もっとやりたい」と声を上げる子どもたちの姿も印象的でした。
盆栽に込められた意味を学ぶ
展示作品を通して、盆栽に込められた意味や精神性についても学びました。
展示鉢のひとつ五葉松は、日本文化において長寿や繁栄を象徴する樹木。五本の葉を持つことから、「五福(幸福・長寿・健康・富・子孫繁栄)」を表す縁起の良い樹として知られ、企業のエントランスなどにも飾られることがあると紹介されました。
また、樹木の真柏(しんぱく)に見られる「シャリ」と「ジン」の表現についてもレクチャーが行われました。

シャリ(舎利)は、幹の一部が風化して白骨化したように見える表現で、古木としての風格や長い年月を感じさせる技法。一方、ジン(神)は枯れ枝を活かした表現で、雷や厳しい自然環境を生き抜いてきた樹木の姿を象徴しています。
子どもたちは、単なる植物としてではなく、“自然と時間を表現する芸術”としての盆栽の奥深さに触れる貴重な時間を過ごしました。
日本文化を未来へつなぐ体験に
今回参加した多くの子どもたちは、講師の話に耳を傾けながら黙々と作業を続け、自分だけの一鉢を完成させました。
保護者にとっても初めての体験となるケースが多く、親子で一緒に学び、楽しみながら盆栽に向き合う姿が印象的でした。
また、TRADMAN’S BONSAIのチームにとっても、子どもたちを対象にした本格的なワークショップは初の試みだったといいます。「自分たちが普段大切にしていることを、次世代に直接伝えられた、とても有意義で貴重な時間になりました。」そう語る彼らは、最後に子どもたちへこんなメッセージを送りました。「ここから先、枯らさないように毎日水をあげて、太陽の光をたくさん浴びせながら、大切に育ててほしい。そしていつか、子どもたちのさらに子孫の世代まで受け継がれていったら嬉しいです。」
完成した盆栽は、それぞれの想いとともに、子どもたちの手によって家へ持ち帰られました。

ABOUT SCUOLA GINZA SIX
「SCUOLA GINZA SIX」は、GINZA SIXが2022年より継続して開催している、次世代を担う子どもたちに向けたカルチャープログラムです。
“Enrich your creativity”をテーマに、各界で活躍する一流の講師陣を迎え、カルチャーやアートを中心とした多彩なワークショップを展開しています。
※「SCUOLA」はイタリア語で「学校」を意味します。
ABOUT TRADMAN’S BONSAI
TRADMAN’S BONSAI は、「日本の伝統文化である盆栽を世界へ伝える」ことを使命に、2015年に結成(2016年に株式会社松葉屋設立)。
伝統を守るだけでなく、盆栽に宿る「おもてなしの心」や「利他の精神」を大切にしながら、ストリートカルチャー、ファッション、アートとの融合によって新たな価値を創出しています。
盆栽を通して、“日本の格好良さ”を再定義し続ける存在として、国内外から注目を集めています。






